パテント・トロールへの対抗サービス
防御・撃退・カウンター対策・紛争渉外
A. パテント・トロール企業とは
a. パテント・トロール企業(以下、PTC)は、自らが保有する特許権を侵害している疑いのある者に特許権を行使して賠償金やライセンス料を得ようとする者です。自らは研究開発や発明実施を行うことなく、他人の特許権を買い受けて、その買い受けた特許権を行使してライセンス収益を狙うことを業とする個人や団体です。
b. アメリカでは2010年代前半がその台頭のピークだったように言われており、現在では一時期ほどの勢いはなく、減少傾向にあるようです。しかしながら、PTCは依然として存在するものであり、アメリカで技術(特にソフトウェア)をベースにビジネスを展開する場合には、その対策を講じておく必要があると言えるでしょう。
c. PTCの多くは、自らはその特許にかかる発明を実施していません(例えば、発明を使用した製品の製造販売やサービスの提供をしていません)。そのような特徴から、以前は「特許不実施主体」(NPE:Non-Practicing Entity)と呼ばれていましたが、NPEには大学や研究機関も含まれてしまうため、「特許主張主体」(PAE:Patent Assertion Entity)と呼ばれています。
d. PTCは、自ら発明の創作や実施を行うわけではなく、他人が取得した特許(主に実施されておらず休眠状態の特許)を買い取り、その特許の対象となりそうな技術を実施している人に対して、「自分の特許権を侵害している」と主張して、ライセンス料の支払を求めてきるといった厄介極まる合法的存在です。
e. 最も極悪なのは、特許性が怪しいジャンク特許を使って手当たり次第に小規模企業を訴えるPTCです。訴えられた側は、自社の技術は特許侵害していない、あるいは、特許権が無効であることが明らかであっても、裁判費用が捻出できないために、しぶしぶ和解に応じざるを得なくなります。特に米国では、訴訟費用が高額(数千万円から数億円レベル)になりますので、正義には反するが数千万円レベルで和解した方が得という考える企業は多いです。さらには、IPO直前等で訴訟に巻き込まれたくないときには、特許法上の根拠がなくても「みかじめ料」を払って訴訟を取下げてもらわざるを得ないケースもあるでしょう。産業の発達にはまったく貢献しない、まさに「特許ゴロ」と呼ばれてもしょうがないケースです。なお、この場合には、通常、和解は条件非公開で行なわれますのでなかなか実態が把握しにくいです。
B. PTCが仕掛けてくるのは特許侵害
特許侵害とは、各国で若干の定義のずれはありますが、多くの国で共通しているのは、有効に登録されている特許の、特許請求の範囲(クレーム)に記載の事項の全てにあてはまる技術思想を、権利者に無断で使用することを言います。技術思想の実施とは、技術思想の製造・使用・供与・貸与・一部転用・応用といった行為をさします。その技術思想が反映された製品を製造販売したり使用したりすることが一例です。
C. PTCが仕掛けてくる交渉術
PTCは、特許侵害相手に狙いを定めた場合、(1)差止請求、(2)損害賠償請求、(3)除却等請求(技術思想の使用がなされた物(在庫など)や技術思想を使用している設備を廃棄せよという要求)を法的に仕掛けてきます。国によっては、特許侵害には刑事罰による罰則もあります。
特許侵害をしているという社会的認定は、他人の権利に配慮しない会社として、会社の評判も傷つけてしまいまうという致命傷を受けることになります(レピュテーションリスク)。
D. PTCの特許獲得方法
PTCの特許獲得方法の代表は、特許または休眠特許を他人から購入する手法です。もう一つは、彼ら独特の特許情報取得手段・諜報処方を駆使して手に入れた特許のネタを悪用して自ら特許を自製して、その登録特許を侵害訴訟に用いる手法です。
自所有または購入した特許・休眠特許と同一または類似した技術を実施している企業を探し出して「特許侵害だ」と迫り、特許訴訟に持ち込みます。法的に特許侵害を主張することのできる要件を備えているものなので、いざ自分がアプローチを受けてしまうとどうしてよいか分からない事態に陥ってしまうことになります。
E. PTCは儲かる
PTCのビジネスモデルは、儲かるように作られています。具体的には、自社で特許を取得もしくは他社から購入します。そして入手した特許を使って事業会社に権利行使をし、和解金をもらいます。なるべく短期間で「獲得した解決金>投資額」となれば儲けも大きくなります。PTCは訴訟費用の相場もよく知っていますので、和解金として訴訟にかかる費用よりも安い和解金を提示することで、支払いをしたほうが得のように思わせてくるようです。このようなテクニックを駆使して、短期間でなるべく高い金額を儲けることができます。
F. PTCのやっていることは立派な合法な知的財産権ビジネス
実は、違法行為ではありません。民法をはじめ特許法等関係各法律に照らしても合法です。ですから、正面切ってPTCに向かっていく正攻法しかありません。PTCは正当な権利者から特許権を購入して、または自ら取得した登録特許を用い、その権利範囲に含まれる技術を実施している会社に声を掛けます。そしてお互いが納得した金額で、和解金をもらいます。
PTCは実際には事業をしていないため、訴えられる側は別の特許で権利行使をし返すこともできませんし、クロスライセンス交渉も不可能ですで、交渉は一方的にライセンス費や不当利益の返還、損害賠償等の支払い一方という交渉形態となります。こちらは製品の差し止められる弱みがあるのに、PTC側は差し止められる事業もないという、まさにファントムを相手に戦をしなければいけないという、防御一辺倒の戦略しか取れません。
G. PTCへの防御・対処
PTCの正体・ポテンシャルの調査とともに、対象となる自己製品とクレームの根拠となるPTC側の特許との関係について調査・鑑定を行います。
鑑定の結果、当該特許の範囲に自己製品が含まれないとの見解であれば、その旨の回答します。併せて、同業他社を含めて同様のクレームを受けたことがあるか調査をし、当該PTCの傾向を把握します。
不幸なことに、もし少しでも当該特許の範囲を侵害している可能性があるのであれば、当該特許に無効審判をかけます。
2010年以降は米国でも日本同様に特許要件が厳格され、まずは日本でいう進歩性に相当する非容易性(Non-Obviousness)の基準、特許を取ることのできる対象(特許適格性)の基準が厳格になりました。特にソフトウェア関係の特許基準が相当に困難となり、無効審判がPTC側にかなり不利に動くようになりました。
よって、PTCから訴訟を仕掛けられる前に、特許無効化手続を先手として開始する戦法も有効は手続きといえます。
以下では、PTCに狙われたらどのように対応すればいいのでしょうか?基本的な対応をここでは紹介します。
a. 早期解決は百害あって一利なし
企業の経営陣はつい早く解決できるのであれば、訴訟費用よりも安い和解金をPTCに払って終わりにしようと思ってしまいます。しかし、そのような金払いの良い企業は、PTCにとってはおいしいカモです。
b. クロスライセンス交渉は通用しない
PTCは事業実態を公表していない、または事業自体を実施していないことが多いため、自社特許とクロスライセンスの交渉をする余地がありません。クロスの渉外手法は彼らには通用しますん。
c. 知財担当者の使命は和解金の最小化
和解金の支払いを断る初歩的手法としては、PTCの持っている特許が先行技術により無効の可能性がある、権利範囲に自社製品が入っていないという主張をして、彼らの要求を突っぱねることです。PTCはなるべく短期で和解金の回収をしたいと思っていますので、こちらも交渉を長引かせて和解金の額を下げるように交渉します。
PTCと無理に争うことをせず、和解金を支払った方が結果的に労力も費用も抑えられることが多いという実態が、PTCをのさばらせる欠陥だと我々は考えています。多くの日本企業は真剣に争えばPTCに勝利できるるにもかかわらず、外聞や株価を気にするあまり経営者陣は面倒を避けて和解金を支払って訴訟を終結したがります。
H. 主戦場は大企業から中小小企業へ
大手企業は知財部員の人数が多いですので、上記のような対策が採れるようになってきているようです。そこで次のPTCのターゲットは知財リソースの少ない中小企業に変わっているようです。
a. ウェブサイトや学会・研究会・発表会で自社技術を詳細に開示するのは愚の骨頂
販路拡大を目的として、自社のウェブサイトに開発技術を詳細に載せてはいけません。また、開発中・製品化済みにかかわらず、研究会・学会・講習会等で自社の製品・技術を詳細に公表してはいけません。
PTCの社長・役員・社員・エージェントが覆面で偽装して、ターゲット企業のウェブサイトを検査してターゲット企業の開発技術の公開情報の詳細を盗む諜報活動を日夜行って獲物を狙っています。また、研究会・学会・講習会等に参加者や主催者として覆面で偽装して参加し、ターゲット企業のウェブサイトを検査してターゲット企業の開発技術の公開発表情報の詳細を盗んでいます。
このような諜報活動ができることにより、PTCからすると手持ちの特許権と製品との対比がしやすくなり、ターゲットになりやすくなります。
b. 分割出願や関連出願を使った波状攻撃がPTCの真骨頂
サイエンス・テクノロジー分野、民事・刑事訴訟法務分野、特許法務分野、渉外戦略技術分野の4分野を融合した知的財産権ビジネスに習得しており実戦経験の豊富な、知的財産権訴訟やPTC対応能力と実務経験に長けた渉外知財人材・渉外知財部員・渉外知財エージェントは、特許事務所はもとより、法律事務所および大企業でもほぼ不在なのが実態です。このような実態の中にあって、さらに中小企業では知財担当に充てられるリソースも経験も少ないため、担当者の工数がなくなり会社の知財活動がマヒしてしまう点を狙い撃ちにしてPTCは、たくさんの特許や分割特許(親特許1件を10件に分割特許のパテントバンドルにして襲い掛かってきます)で何度も警告してきたり、法外な和解金を求めてプレッシャーをかけてきます。
I. パテント・トロール対抗サービス実績
有限会社知財戦略研究所(知識産権戦略研究所有限公司及其知识产权纠纷解决律师事务所)では、サイエンス・テクノロジー分野、民事・刑事訴訟法務分野、特許法務分野、渉外戦略技術分野の4分野を融合した、特許事務所・法律事務所では不可能な唯一無二の超高度な専門性を備えたパテント・トロール対抗サービス(防御・撃退・カウンター対策・紛争渉外)を行い、損害賠償金・不当利益返還金・ライセンスフィーを最小被害限度に収めてクライアント企業に有利な満足していただける十分な成功を収めてまいりました。さらに、上記知的財産権ビジネスの成功実績を踏まえて、紛争解決後の、クライアント企業の知財リーク防衛戦略、社外発表・広報管理戦略、PTCを含め他社から権利を取られないように特許や商標を自社で取得していただく知的財産権取得戦略、他社知的財産権取得阻止戦略等の知的財産権戦略策定・実施・管理等の各種支援サービスを提供(一例)しております。
Acacia Research Corporation、Intellectual Ventures、InterDigital、IPG (Intellectual Property Group)、MOSAID Technologies、Rambus Inc.、Rockstar Consortium、Round Rock Research、Tessera Technologies、Walker Digital、Wi-LAN Inc.、VirnetX Holding Corporation、Unwired Planet、Optis Cellular Technology、PanOptis Patent Management、Fortress Investment Group、Nimitz Technologies LLC、Mellaconic IP、Lamplight Licensing LLC、Penovia LLC、Allied Security Trust、Mavexar LLC、Adaptix Inc.、Round Rock Research LLC、Rockstar Consortium Inc.、Intellectual Ventures Management LLC、Acacia Patent Acquisition LLC、Wi-LAN Technologies Inc.、Tessera Inc.、Rambus Delaware LLC
J. まとめ
a. PTCは依然として大企業への知的財産権訴訟に加えて、最近では人材・経験不足の中小企業も攻撃の対象にしています。大企業だけでなく、特に中小企業はPTCに狙われないように、またアプローチしてきたときに慌てないように、普段からエージェントを準備が必要です。
b. 弊社は、サイエンス・テクノロジー分野、民事・刑事訴訟法務分野、特許法務分野、渉外戦略技術分野の4分野を融合した、特許事務所・法律事務所では不可能な唯一無二の超高度な専門性を備えたパテント・トロール対抗サービス(防御・撃退・カウンター対策・紛争渉外)という知的財産権ビジネスを提供しています。当該知的財産権ビジネスでは、特許事務所・法律事務所には全く欠けている長期的かつ企業密着ポジションで、特許事務所・法律事務所では強豪米国特許庁のサーチレポートのクオリティで他社特許調査をして、クライアント企業のIPクリアランスを常時ウォッチし、PTCからのパテント訴訟からクライアント企業を防衛し、安心してクライアント企業が研究・開発に着手し集中できる環境を提供してます。
c. 同時に、PTC渉外サービスに加え、クライアント企業の知財リーク防衛戦略、社外発表・広報管理戦略、PTCを含め他社から権利を取られないように特許や商標を自社で取得していただく知的財産権取得戦略、他社知的財産権取得阻止戦略等の知的財産権戦略策定・実施・管理等の各種支援サービスも提供しています。
以上
有限会社知財戦略研究所(知識産権戦略研究所有限公司及其知识产权纠纷解决律师事务所)